論理シリーズ:順番が大事な理由(逆は必ずしも真ならず)

祇園祭に行く連中みんな犬に噛まれろ そのマネージャーもみんな犬に噛まれろ どうも、めたかです。 (たむけんのネタのパロディーです) 人は多いわ、車は進まないわ、 大変ですわ、全く。

とにかく、サクサクいきましょ。 論理シリーズ、山場ですし。 (反応、薄いですけど。)

前々回前回で 「AならばBである」という論理を説明しました。 今回は、それを色々といじってみます。

「AならばBである」 まずこれを、順番を逆にしてみましょう。 「BならばAである」 これは、どんな時に成り立つのでしょう?

「AならばBである」の場合 集合【A】は、集合【B】に含まれるんでしたね。 なので、 「BならばAである」の場合も同じで 集合【B】が、集合【A】に含まれるんです。

図で書くと、こんな感じになりますね。

・・・
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benzu3.jpg

ちょうど、逆ですね。 なので、 カルノー図では・・・

carnotzu.jpg

青の部分が存在しないんですね。

で、注目して頂きたいのは 「AならばBである」 と 「BならばAである」 では、2つの集合の関係が異なるんです!

だから 「AならばBである」場合に、 順番を逆に、 「BならばAである」とすると 成り立たない場合がある(多い)んです。 (成り立つ場合は、  集合【A】と集合【B】が全く一致する場合)

これを、論理学では 「逆は必ずしも真ならず」と言います。 そして、これが 論理において「順番が大事」な理由なんです。

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具体例がないと分かりにくいですね。 も使った例でやってみましょうか。

「イヌならば動物である」 これを逆にすると 「動物ならばイヌである」 ですね。 これは、ないでしょう。

カルノー図でチェックするなら 「黄色の部分」(イヌだけど動物でないもの)は存在しません が、 「青の部分」(動物だけど医務でないもの)は ネコとかライオンとか、色々ありますよね。 だから、成り立たない。 「逆は必ずしも真ならず」ですね。

こちらの例はどうでしょう? 「イヌ好きな人は、動物好きである」 の逆は 「動物好きな人は、イヌ好きである」 ですね。 この場合、カルノー図の青の部分 つまり「動物好きであってイヌ好きではない」 という人が、居なければ良いんですね。

そして、これも 「動物好き」の定義によりますね。 「動物好き」というのが 「イヌもネコも、全ての動物が好きな事」 だったなら 「動物好きなのにイヌは好きでない」 という人は、定義として成り立たなくなります。

それで 注目して頂きたいのは 元々の場合 「イヌ好きな人は、動物好きである」 では、 動物好きの定義が 「動物のどれか1つでも好きなら動物好き」 なら、成立するんでしたね。

つまり 元々のものと逆とでは 成立するためには 「動物好きの定義」が異なる事になるんですよね。

こちらの例も考えてみましょうか。 「風が吹けば桶屋が儲かる」 の最初の部分だけ。 「風が吹けば埃が舞い上がる」 を「逆」にすると 「埃が舞い上がったなら風が吹いている」 なんですが、 これは違いますね。 なぜなら 例えば、トラックが走ったりしても 埃が舞い上がりますから。 他の理由でも、埃が舞う事はありますから。

こんな所です。

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さて、次は、 「AならばBである」を、両方否定してみましょう。

「AでないならばBではない」 となりますね。 (これを論理学で「裏」と言います。)

これについて、集合で考える時は、 どうすれば良いのでしょう?

「AならばBである」の場合は 「A」については、 「Aが当てはまる集合」を考えるんでしたね。 それが「集合【A】」だった訳です。 ですから、 「AでないならばBではない」の場合は 「Aでない、事が当てはまる集合」 つまり「Aが当てはまらない集合」ですから 「集合【A】に入らないものの集合」って事になります。 それを「集合【A】の補集合」と言います。 表記は「A_hoshugo.jpg」ですね。 (カルノー図の中では  先に勝手に使っていましたね^^;;)

さて、それで 「AでないならばBではない」の場合は 双方の補集合で考える訳ですから、 ベン図、カルノー図も、 それに合わせて表記を変えましょう。

ベン図 benzu4.jpg

カルノーcarnotzu2.jpg

位置は変えましたけど、 色は元のものと対応が付くように 表記しています。 (つまり  元の図と、同じ色の部分は同じ集合になる。)

この時、 「AでないならばBではない」場合、 「Bの補集合(B_hoshugo.jpg)」が 「Aの補集合(A_hoshugo.jpg)」に含まれるんです。

つまり カルノー図では 左下の青の部分が存在しないなら 成立する訳ですね。

なので、 この場合も、元の「AならばBである」とは 2つの集合の関係が異なりますね。 だから 「AならばBである」 が成り立つ場合でも 「AでないならばBではない」が 成り立つとは限らない訳です。 (成り立つ場合は、  集合【A】と集合【B】が全く一致する場合)

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これも、具体例を考えますか。 「イヌならば動物である」を否定したもの 「イヌでないならば動物ではない」 ・・・これは、違いますね。 イヌではない、ネコなどの動物がありますから。

こちらは、どうなります? 「イヌ好きな人は、動物好きである」 の「裏」である 「イヌが嫌いな人は、動物嫌いである」 どうでしょう? 考え方は、もう分かると思いますので 考えてみて下さい。

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さて、単に「否定」するだけでなく 順番も逆にしてみましょう。 「Bでないならば、Aでない」 これを、「対偶」と言うんですが。

これも、カルノーcarnotzu2.jpg で見ると、 右上の黄色い部分が存在しなければ、 成り立つんですよね。

で、注目して頂きたいのは、 この条件「黄色の部分が存在しなければ良い」 というのは 元の「AならばBである」の場合と 同じ条件なんですよ!

つまり 「逆」とか「裏」では (元のものが成り立つ場合に) 成り立つとは限らない (成り立たない場合が多い)んですが 「対偶」では 元の命題が成り立つなら、 無条件で成り立つんです!

具体例を見てみましょう。 「イヌならば動物である」 の対偶は 「動物でないならイヌではない」 って、当たり前ですよね。

「イヌ好きな人は、動物好きである」 の対偶 「動物が嫌いな人は、イヌが嫌いである」 これも、動物嫌いの定義によるんですが、 黄色の部分 「動物が嫌いで、イヌが好きな人」 は、元の条件 「イヌ好きで、動物が嫌い」と同じですから 「どれか1つでも動物が好きなら動物好き」 の裏返し 「全ての動物が嫌いでないと動物嫌いにならない」 ならば 黄色の部分は存在しないってなりますね。

あと 「風が吹けば埃が舞い上がる」 の対偶は 「埃が舞っていないならば、風は吹いていない」 ですので、 オーケーでしょう。

こんな所です。 これらについても、 また、良い具体例を見つけて 解説できたら良いなって思っています。 ・・・なんか、ないっすかね?